ドルトムントの天使

ポーランド生活も残り1週間。
そろそろ移動だな。と思いつつ、思い出すことがある。
ドイツからポーランドへ行く日、ドルトムントの駅で、乗り換え電車を待っていた時のこと。

移動の時のごはんを食べるタイミングは、難しいよな。と思いながら、お昼1時前の時計とにらめっこして、いつご飯を食べようかと悩んでいた。
最後にごはんを食べたのは、前日のお昼。(夜ごはんと朝ごはんを抜くのは私にはよくあること。)
これから約4時間ゆられてベルリンへ。ベルリンについたら急いでバスターミナルへ移動しなきゃならんから、ごはんを食べる時間はないよな。もちろん、夜行バスに乗ったら、ごはん食べられないだろうしな。
ということは、次のごはんのタイミングは明日の朝か、お昼か。
まぁ、それでもいいか。

などと思いながら、駅構内をぶらぶら。
ドルトムントの駅の中には、パン屋さんがいくつも並んでいる。
だいたいフランスパンみたいなハード系のパン。中にはプルッツェルのでっかい形のパンもある。
キオスクみたいなお店で売られているそのプルッツェルには、中になんかが挟まれている。
よく見ると、そのでっかいプルッツエルが横に半分にスライスされていて、どうもマヨネーズっぽいものが間に塗られているよう。
へんな食べ物だな。と、思いながらじぃーっと見ていたら、後ろから「並んでいますか?」 と若い女性に声をかけられた。
あわてて、いえ。どうぞ。どうぞ。と手を前に差し出して、後じさり。
離れて見ると、次から次へと人が並ぶよく流行っているお店だ。

時計を確認すると、電車の時間まであと30分を切ったところ。
そろそろホームへ行こうかの。と、スーツケースを引きずり、エスカレーターでホームについたところで、ポンポンと背中を叩かれた。
振り向くと、さきほどキオスクみたいなお店で「並んでいますか」と声をかけて来た女性。
彼女は、そのお店で買ったと思われる紙バックを私に差し出して、どうぞ。という仕草をする。
ん?? なんだ? なんだ??
よくわからないけど、とりあえず、
「No, No,」。
しかし、その女性は「Please」と言い、持っていた紙バッグを私に掴ませて、そのまま階段を駆け下り目の前から消えてしまった。

えっ?? 何だっ???

何が何やらよくわからなくて、手に残された紙バックをじぃーっ。
これって、食べ物だよな?
もしかして、もらっちゃった???

しばらくぼけーっ。

一体何が起こったんだ。

こういうのは、考えてもよくわからないものだ。
きっと神様が「食べなさい」といってるんだろう。と、勝手に解釈した。

まぁ、よく考えたら、次にごはんを食べるタイミングが翌日のお昼だったら、丸二日食べないことになる。
一日半くらいは結構へっちゃらだけど、丸二日は未体験ゾーンだ。
などと、あらためて気がついた。

電車に乗り、紙バックを開けると中にはあのでっかいプルッツエルが入っていた。食べてみると、中に挟まれているのは、マヨネーズではなく、バター。しかも、細かく刻まれたネギが練りこまれている。
今までの人生で出会ったことのない、不思議な食べ物だ。

味はともかく、食べ終わったら少し体が楽になった気がした。
そうか。自分でも気づかないけど、こんな重たいスーツケース下げて、あちこち移動してるんだから、体がちょっと疲れていたのかもしれない。と思ったり。

なんか、わからないけど、天使に会っちゃったなー。
と、実感した。

(今泊まっているホストの家には、色んなアートっぽい写真がたくさん飾られている。建物の写真とかどこかの民族の人の写真とか。
私の部屋にも1枚、大きな写真が飾られている。
ブラジルの手を広げたでっかいイエスさまの写真。
不思議だなぁ。)

この天使シリーズ、まだ続きます。

Comments / コメント

Copied title and URL