ひと種類のパーツだけでくすだまになる作品 (コンビネーションワークスなどのくすだまではない作品) のパーツを、わざわざふたつの部分に分割して、ひとつのくすだまを作ってみたいと思います
単純計算をすると、使うピースの数は倍になります。
ふつうにくすだまを作るときとくらべて、どんなことが違うのか、どんな効果があるのか、どんな面白いことが潜んでいるのか、わくわく観察します。
1. ばらばらたいる
ピックアップしたのは、ばらばらたいるです。
ばらばらたいるをレギュラータイルに。
はじめに、ばらばらたいるの基本形を、ばらばらではなく、規則正しく折りたたみ、4 つの折り線を加えて、くすだまを作ります。
レギュラーノット / regular tile
- © Mio Tsugawa
- Created : Dec. 2010
- Parts : 30
- まとめ材 : なし
- ジョイント方法 : 花結びジョイント
さっぱり面白くもなんともない作品になりました。
この作品のパーツをふたつに分割してみます。
2. パーツを分割。そして、パーツを再構成。
この作品に使われているパーツは 30 です。ひとつのパーツをふたつに分割すると 60 になります。
60 のピースを使ってひとつのくすだまを作りますが、手順は次の通り。
- 1. ふたつのピースでひとつのパーツを作る。
- 60 のピースで一気にくすだまを仕上げるのではなく、はじめにふたつのピースからひとつのパーツを作ります。この時、まとめ材などは使わないようにします。
また、分割したことがわかりやすいように、ふたつに分けたピースはそれぞれ違う色の紙を使います。 - 2. くすだまに組み立てる。
- ふたつのピースからなるパーツ 30 個を使って、ひとつのくすだまにします。
ジョイント方法は、レギュラーノットと同じ花結びジョイントでつなぎます。
Topへ3. 結果
ゆびきり / yubikiri
- © Mio Tsugawa
- Created : Mar . 2011
- Parts : 30
- joint type : modular type
- ジョイント方法 : 花結びジョイント
- 観察 1 : 色彩
- まるでデコレーションパーツで飾ったような、おもしろい配色になりました。全体のパーツの何パーツかの色を変えるという方法とはまた違った、規則的な美しさがあります。
またひとつのパーツが部分的に色が違うということから、「パーツのどこそこの部分が、くすだまになった時このあたりに出てくる」というようなことが、とても分かりやすいです。
たとえばレギュラーノットでは、くすだまに仕上がるとポケットとフラップの位置がわかりにくかったのですが、この場合、桃色の部分がポケットで、ホイル紙がフラップだということがよくわかります。 - 観察 2 : 形
- 色の出方に目を奪われますが、形を観察すると多面体の輪郭はレギュラーノットと変わりありません。
5 パーツ集まるところの螺旋状のデザインは「メテオロイド」と同じ理由からです。 - 観察 3 : 工程
- 一枚の紙からフラップとポケットを折り出すことに比べると、折りたたみの工程はかなり単純化されます。また、一枚の紙を折りたたんで紙の重なりを作るより、ふたつのピースを重ねることで紙の重なりを作る方が、非常に簡単で理解しやすいと思われます。
「紙を分割する (紙をカットする) 」という工程を除けば、両者にかかる時間にそれほど差はありません。どちらも、たいそう時間がかかります。
Topへ4. まとめ
ひとつのパーツをふたつに分割すると、一方の紙の色や質を変えるという簡単な方法で、全体的にダイナミックで美しい配色やパターンを楽しめるということがわかりました。裏面が表面に出ない作品でも、デコレーションパーツを使わずに、色彩に変化をつけることができます。
また、パーツを分割することによって、折りたたみの工程が非常に単純化されるということも分かりました。そのことによって折り手の層が広がり、より多くの人に楽しんでもらうことが可能になりました。
パーツの分割という創作の技術は、くすだまの未来につながる何かを、暗示していそうな気がします。
5. ミニギャラリー
-
ゆびきり
-
ゆびきり
-
ゆびきり
-
長いゆびきり
-
長いゆびきり 色違い
-
長いゆびきり アレンジ
-
ゆびきり 針千本
レポート : 2011年 3月 8日
Topへ関係があるかもしれないレポート