何かを折る時のプロセスで作られる基本形などの「なじみの形」を、なるべく形をくずさず、さらに紙以外のまとめ材を使わずにつないでみる。ということを試してみました。
さて、どんな形が生まれるか。どんな美しさが潜んでいるか。どんな工夫を凝らせるか。観察してみたいと思います。
1. なじみの形
ピックアップしたのは、フレーベルの基本形。
作り方はフレーベルの贈り物
2. ジョイントできる形に変形
つなぎやすい形に変形させます。ふたつのタイプを試してみました。全部で 5 か所に 新しい折り目がつきます。最初の 1 の工程は同じ、2 の工程で山折りと谷折りに分かれます。
- タイプ A : 垂直に山折り
- 中心に集まっている 4 か所の紙の角を形の角に合わせて谷折にします。
- 全体を半分に山折りにします。
- タイプ B : 垂直に谷折り
- 中心に集まっている 4 か所の紙の角を形の角に合わせて谷折にします。
- 全体を半分に谷に折ります。
Topへ3. タイプ A の結果
カドリーユ / quadrille
- © Mio Tsugawa
- Created : Feb . 2011
- Parts : 30
- joint type : modular type
- 形について
- まとめ材を必要としないモジュラータイプのくす玉になりました。ジョイント部が表面に出てこないため、形はすっきりシンプルです。多面体の形もそう目新しいものでもありません。ジョイント部の紙の重なりが、いわゆる蛇腹状になっているためきっちりとはつながらず、パーツが 5 つ集まるポイントに大きめの穴があきます。しかし、まぁ、O.K っす。 (Mio さんには許容範囲) 。
内部に現れたジョイント部は、紙の白い部分 (紙の裏側) を大きく見せてしまうようです。 - 工夫
- 内部のジョイント部の隙間に別の紙 (写真では黄色の紙) をはさみ、白い色 (紙の裏側の色) を別の色に変えてみました。色彩にメリハリがついたようです。はじめから両面折り紙で折るという手もありますが、紙を挟む方法は自分でカラーや柄を選べるので、より楽しめるかなと思います。
- そのた
- 名前の「カドリーユ」とは、四人で踊る社交ダンスです。フランス語。英語ではカドリール。
4. タイプ B の結果
コティヨン / cotillon
- © Mio Tsugawa
- Created : Feb . 2011
- Parts : 30
- まとめ材 : 紙 (1:4) / 60 parts
- 形について
- カドリーユのリバースタイプです。ジョイント部が表面に出てくるため複雑な形に見えますが、輪郭をたどるとカドリーユと同じ多面体だということがわかります。
白く見えている紙がジョイニングパーツです。もとの折り紙の 1 辺を 1 とすると、縦横の比率は 1 : 0.25 になります。
また、ジョイント部が蛇腹のような紙の重なりでも、- そのジョイント部が表面にあり、
- ジョイニングパーツでつなぐと、
かなりきっちりつながるようです。パーツが 5 つ集まるポイントにできる隙間も、カドリーユよりは小さくなります。 - 工夫
- 「ジョイントできる形に変形」の 1 の工程で表に出る紙の裏面は、カドリーユの場合はジョイントによって解消されますが、コティヨンはそのまま残ります。つまり、紙の裏面が多く見えた状態でくす玉の表面に出てきます。そのことを利用して、はじめから両面折り紙を使用しました。ジョイニングパーツを加えることで、3 色の色を使うことができました。
- そのた
- コティヨンはフランス風のコントルダンス (集団舞踏) です。意味はペチコート。四季咲きの薔薇の一種にも、この名前があるようです。
Topへ5. まとめ
なじみの形も多面体にまとめると、立派な「くす玉」や「モジュラー折り紙」になることが分かりました。ひとつの折り線の違いで、外観がガラリと変わるところは、くす玉ならでは。色々な美しさに出会える可能性を多く秘めています。紙の裏面も工夫次第でアクセントとして利用でき、個性を表現できる部分になります。
まとめ材に紙を使うと、色彩や形に変化を与えることができます。そして、なじみの形からさらに簡素化された形でさえも、無理なく繋げられることが予想できます。
なじみの形をつなぐという単純な作業から、くす玉の世界は「制限された無制限の芸術」だと実感することができました。
レポート : 2011年 2月 16日
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