野田俊作氏のブログ『野田俊作の補正項』をぼけぇーっと読みました。
野田俊作氏は初代日本アドラー心理学会会長。アドラー心理学を初めて日本に紹介した人。
私がアドラー心理学を知ったのは、彼の「アドラー心理学トーキングセミナー」っちゅう本を読んだのがきっかけ。梅田の紀伊国屋で、本が山積みになっていて、青色の表紙が目について「綺麗だなー」って、まぁそんな感じで本を買った。かれこれ 30年くらい前のこと。
野田氏の講演会を何度か聞いたことがあるけど、あまり政治の話はされなかったように思う。私が政治に1,000%興味がなかったので、まったく記憶にないだけなのかもしれない。
ある講演会の質疑応答で、どなたかが『支持政党はあるか』というような質問をされたとき、そういう質問には答えない。と答えられたような記憶がある。理由はたしか、指導者にある立場の人がある人を推すと、指導される人たちは、自分で考えることをせずに同じ人を推してしまうから。というようなことだったような…。(←実ははっきりと覚えていない。記憶違いかもしれない。)
ただ、野田氏の主張ではっきりと覚えているのは、今の日本の教育システムはとんでもなく、日教組(にっきょうそ。日本教職員組合)は、潰さにゃならん。と言われていたのは、はっきりと覚えている。
野田氏の政治思想
アドラーギルドでも盛り上がっていた『男女参画事業』がグローバリズムのプロパガンダということを知ってから、野田俊作氏はどんな政治思想をされていたのだろう。と、すこし興味を持った。ちょっと調べて、ある論文から野田氏はアンチグローバリズムの思想をお持ちだということはわかったけど、はたして、右だったのか左だったのか。(←なんてな。自分がようやく政治に興味を持ち始めたもんだから、ようやく他人の思想やらに注意を向けた人。)
前述のような記憶があったので、野田氏は政治の話はおおっぴらに話さない方なのだろう。と、勝手に思っていた。でも、実はそうではなかったよう。
先日、何の気なしに、彼のブログに遊びに行ってみると、政治に関する記事をたくさん読むことができた。たくさん、というよりひょっとしたら、彼のブログ記事の3分1くらいは、政治の話かもしれない。全部読んでないので、はっきりとはわからんけど。
野田氏は保守派(右)だったのか。革新派/改革派(左)だったのか。結論から先に言うと、
野田氏は保守思想の持ち主だったらしい。初期のブログの記事を読んでいて、ひょっとしてそうかなー。と感じていたけど、ある記事で確信した。まぁ、そのあとの記事でも、ご自身でそう言っておられたしな。
彼が保守だと確信した記事↓
もう何年も新聞をとっていないし、週刊誌も読まないし、地上波テレビも見ない。世の中のできごとについての情報源はインターネットだ。私と同じような人が結構いると思う。大マスコミを信じないからこうしているわけだ。
<中略>
これはこれでもちろん情報のかたよりはあるわけだが、《事実》と《意見》を区別できるだけの知性が私の方にあれば、大マスコミの情報を補正するためには便利だと思う。というわけで、私のこのごろのブックマークの一部を公開しておく。極端に右傾化しているけれど、ごかんべん。
野田俊作の補正項 “私のブックマーク” より (2009/06/26)
アドラー心理学を学んで、学校で嘘ばかり教えられたことに気がついたが、『アドラー心理学を語る』は過渡期の作品で、いまみたいには保守的でない。けれども、あの時代(1990年代)としては、相当に保守的だったと思う。それからどんどん保守的になって、いまみたいになった。
野田俊作の補正項 “私たちはどこへ行くのか (2)” (2017/11/16) より
ブックマークに『チャンネル桜』が入っている時点で『はい。右、決定!!!』だす。私が以前、ブログの記事に書いた『今までみた、どのアニメより、どのドラマより、どの映画より、どの動画より、一番おもしろかったよ。林千勝先生の「今、世界はどうなってる?」』は、チャンネル桜の番組のひとつ「今、世界はどうなっている?」を紹介したもの。そして、過去の記事で、西部邁氏も紹介した。
ちなみに TOKYO MX の西部邁ゼミナールは今、動画はなくなってしまっている。代わりに、公式じゃないアカウントがある。画像がとても綺麗なので、ひょっとしたら、番組制作関係者の方が上げたのかな。とか、思ったり。→旧・表現者アーカイブさん。
せっかくなので、野田氏が政治について触れられておられるを記事をご紹介。かなり多く引用したので、著作権に引っかかるかもしれない。誰かに何か言われたら、ちゃっちゃと消えますので、あしからず。(太字は私が勝手につけたもの。)
憲法改正、国防について
現在の安保条約はぜひとも廃止すべきだと思う。かつてはメリットがあったが、現在はデメリットの方が圧倒的に大きい。「利」ではなく、「義」から見ても、あれは恥ずべき条約だと思う。存在そのものが国辱だ。現在の安保条約を廃止するためには、どうしても憲法を改正しなければならない。つまり、子どもたちを戦場に送る決心をしないといけない。そうした上で、対等互恵の新たな日米軍事条約を結ぶべきだ。
<中略>
日本の場合には、空挺部隊よりも、在日外国人が問題だ。留学生などで日本に来ている某国人たちは、男子は兵役を済ませている。だから、少数の指揮官を日本に入国させれば、彼らは整然と軍事行動ができる。
<中略>
選挙権も、国防の義務と結びつけて考えると、きわめてわかりやすくなる。国防の義務を負わない外国人には、当然のこととして選挙権はないわけだ。
野田俊作の補正項 “政治集会(3)” より(2010/02/04)
私自身も『日本国憲法』は廃止して、新しい自主憲法を決めるべきであると思っているし、「国民主権」という法哲学的に奇妙な思想も再検討すべきであるとは思っているが、いますぐにそれができるとは思っていない。二階に上がるには、梯子をかけて、一段ずつ昇るしかない。1)実現可能な目標に向かって、2)効果的な方法を段階的に続けて行くことが、「現実的である」ということの意味だ。
野田俊作の補正項 “現実的であること(2)” より(2017/07/03)
「安倍政権は憲法を改正して戦争できるようにしようと思っていますが、どう思われますか?」と聞く人があったので、「この次に戦争するときは勝たなければなりません。負けてはいけません」と答えたら、「でも、その前に戦争にならないように努力すべきではないですか」と言う。「それでも戦争になることはあります。そのときには勝たなければなりません」と言った。
野田俊作の補正項 “現実的であること(4)” より(2017/07/05)
もしアメリカと軍事同盟を結ばないとなると、単独防衛は不可能だから、中国かロシアと軍事同盟を結ばなければならなくなる。それは私はいいアイデアだと思わない。選択肢は、1)いつまでも安保条約をそのままにしてアメリカの属国のままでいるか、2)憲法を改正して再軍備し安保条約を破棄して真に独立するか、のどちらかしかない。まさか、3)憲法を改正しないで安保条約を破棄し非武装中立国になる、というような「九条の会」風の主張をする人はいないでしょうね。それは無茶苦茶な議論ですよ。さて、もし2をとるなら、2-1)アメリカと軍事同盟を結ぶか、2ー2)中国(あるはロシア)と軍事同盟を結ぶか、のどちらかしかない。唯一現実的な意見は、2-1、すなわち「再軍備してアメリカと同盟を結ぶ」だろう。
野田俊作の補正項 “日本人はいかにしてみずからを純化するか(2)” より(2010/03/07)
外国人問題について
外国人問題も、アドラー心理学は同じ公式で考えることになるのだなと気がついた。あまり大っぴらに言うと、ポリティカル・コレクトネスにひっかかって、「差別だ」とか「ヘイトスピーチだ」とか言われそうだな。しかし、お嫁さんと夫の実家をひとつのたとえ話として考えるなら、外国人問題も同じ公式で解くしかないことがわかる。なんでも、トランプ大統領は韓国系アメリカ人に対して、「日系人はアメリカの軍人になって、アメリカを守るためにドイツと戦った。韓国系人はいつまでたっても韓国の立場に固執して、アメリカの立場でものを考えない」と苦言を呈したのだそうだ。アメリカでだけじゃないですよ。
野田俊作の補正項 “公式の使い方を学ぶ(3)” より(2017/08/30)
マルクス主義(共産主義)と民主党、プロパガンダについて
日本人は長期的な戦略を立てるのが下手だと思っていたけれど、丸山眞男門下のしつこさはあっぱれだ。彼らは、昭和21年の論文「超国家主義の論理と心理」以来、まったく一貫して日本解体を進めてきた。彼らが賢いのは、日本人のマルクス主義アレルギーを考慮して、いっさいマルクス主義用語を使わず、「人権」だの「平等」だの「平和」だのといった、政治的に正当な言葉 (politically correct words) だけでもってマルクス主義を語ったことだ。その結果、日本人はすっかりだまされてしまって、「人権擁護」だの「多文化共生」だの「男女共同参画」だの「夫婦別姓」だの「新しい公共」だの「地方主権」だの「東アジア共同体」だの「外国人参政権」だのといった、耳障りはよいが、中身を詳しく聞くととんでもないアイデアを、知らないうちに受け入れさせられてきた。
野田俊作の補正項 “はなしくい” より(2010/08/11)
ある人が、「家父長的・封建的な育児を受けた日本人が、民主的な育児ができるようになるものだろうか」と質問された。そもそも「家父長的」だの「封建的」だのは、アメリカ占領軍が作りだして共産主義者が受け継いだプロパガンダ用語で、何を意味しているのかよくわからない。戦前の育児は戦前の育児でいいところもあったし、いまの育児はいまの育児でいいところもある。
野田俊作の補正項 “現実的であること” より(2017/07/02)
丸山は、とても賢くて、あの時代にもアメリカを誉めない。理性的という点ではアメリカだってじゅうぶん理性的だった(=ずる賢かった)のだが、それについてはコメントしないで、「日本の指導部はナチにさえ劣る」という理屈だけで押し通す。アメリカを誉めるとバカに見えるからね。やがて、日本国憲法ができると、護憲派に回る。日本国憲法はアメリカが作ったが、きわめて理性的だからだ。やがて朝鮮戦争が起って、アメリカは日本の再武装を望むようになる。それを日本国憲法を盾にして断り続けるという作戦を、吉田茂が選択した。丸山眞男は、その点では吉田茂と「同じ穴のムジナ」なんだけれど、全面講和論(共産圏の国とも講和条約を結べ)という、理性的かつ非現実的な路線でもって吉田と対立した。ほんとうに世渡りのうまい男だ。その世渡りのうまさを、日和見学者たちはしっかり勉強して、そうして今になった。そういう人たちが顧問になって民主党政権が誕生したわけだ。
野田俊作の補正項 “物の怪の時代(2)” より(2010/10/26)
自由主義と社会主義、国家統制について
自由競争を国家運営の中心に置いて、政府は経済に介入しないとする。これを自由主義という。自由主義の政治をすると、必然的に成功者と失敗者とが出て、貧富の差が広がる。社会ダーウィニズムの人たちは、これを生物進化になぞらえて、「適者生存」だの「自然淘汰」だのと言うのだけれど、生物進化なら負けた種が絶滅したって仕方がないが、人間社会の場合は経済競争に負けた方が絶滅するのは具合が悪い。
<中略>
私はいま自由競争そのものを批判しているわけだが、以前から国家統制も批判している。だから、修正自由主義ないし修正社会主義も正しい答えではないと思っている。そもそも自由競争も国家統制も間違っていると言っているのだから、その修正も間違っている。アドラーも1918年にそう思った。だから、社会民主党を脱退して、政治から身を引いて、《共同体感覚》を提案したわけだ。
野田俊作の補正項 “価値基準を回復しなければ(3)” より(2017/11/05)
皇室と天皇制、天皇陛下について/戦争に負けたら
北朝鮮なり中国なりが日本に攻めてきて、その日か翌日くらいに憲法が廃止されないなら、日本は負けるから、海外に出よう。私の願いは、政府中枢部にも同じように考える人がいて、クーデタに失敗した時点で皇族のどなたかを擁して国外脱出してくれることだ。天皇陛下ご自身はけっして亡命なさらないだろう。だから、別のどなたかをお連れして外国に出て、いつでも臨時亡命政府を作れるようにして情勢を見る。悲劇的な未来だが、あらゆる可能性を考えておいて、そのうえで「明日世界が滅びるとしても、今日私はリンゴの木を植える」しかない。
野田俊作の補正項 “敗戦処理(2)” より(2017/05/30)
皇室のあり方全体を憲法が規定する必要はなくて、政治と関係する部分だけを規定すればいいと、私も思っている。
<中略>
しかしねえ、危険だったのは、天皇でもなく皇室でもなく、一方では中国やアメリカやロシアというような覇権主義の外国であり、一方ではそのときそのときの情勢に場当たり的に反応することしかできない日本の政治家ですよ。「天皇は政治利用されるから、法で縛って動けなくするか、さもなくば廃止してしまえ」というのは、「包丁は凶器になるから、刃を鈍くして切れなくするか、さもなくば捨ててしまえ」というのと同じくらいの暴論だ。
野田俊作の補正項 “物の怪の時代” より(2010/02/25)
伝統としての天皇制は廃止すべきでないと思う。そのためには、慣習としての天皇制を残さなければならない。絶対的君主としての天皇は、よほどとんでもない狂信的右翼以外には望んでいない。保守派が望んでいるのは、おおむね、1)象徴ではなく国家元首であること、2)国事行為のみを行い国政に関する権能を有しない、ということだろう。第2点は現憲法第4条にそのまま書かれているので、第1条だけ改正して、「第1条 天皇は日本国の元首である」にしてくれれば、それでいい。
野田俊作の補正項 “慣習と伝統” より(2010/01/11)
マスコミと民衆について
現在のマスコミの動きは完全に《神経症的策動》であると思っているのだが、それは、もう一方に「不適切な行動に注目関心を与える」民衆がいるから維持されている。そもそも民衆は騒ぎがあれば集まる性質を持っている。ようするに「野次馬」だ。それも《所属》の一種だ。戦前もそうだったし、戦後すぐもそうだし、60年安保もそうだったし、70年安保もそうだったし、郵政民営化騒ぎもそうだったし、民主党政権もそうだった。今回もそういう点では同じパターンだ。
<中略>
こういう状況に対抗する手段は、知られているかぎりではひとつしかない。アメリカのトランプ大統領は毒舌で対抗してマスコミに勝ったことはご存じの通りだ。ロシアのプーチン大統領はいきなり軍事行動を起こすというものすごい手を使って民衆を熱狂させてマスコミに勝っている。安倍総理大臣も、いきなり尖閣諸島に公務員を派遣するとか、北朝鮮の違法操業船舶を拿捕ないし撃沈するとか、日本中が上を下への大騒ぎになるような手を使って、すべての注目を自分に集める手がないことはない。あらかじめアメリカとロシアくらいに相談しておけば、この手はうまくいくかもしれない。医学的に言うと、ショック療法だな。
野田俊作の補正項 “病んだ社会(3)” より(2017/07/12)
このショック療法、いいかも😁
補足
今回の記事のタイトル『日本は完全に狂ってしまったと、私も思います。』は『野田俊作の補正項』の『2017年07月06日』の記事の引用です。
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